自然農法は再現性のある栽培方法です。農学の知識を身に付ければ、誰でも出来るようになります。
科学である程度自然農法は説明でき、私たちは10年以上かけ再現性について実践しています。
地球も土壌も元は隕石です。今から46億年ほど前に地球が誕生し、今からおよそ3億年前には、生き物により土壌が作られたと考えられています(土壌学の基礎 松中照夫 参照)。今も土壌は変化し続けています。
土は特に上部から、生き物の活動によって出来ます。土壌は生物が生き死にする場となります。生物的生成過程(生き物の代謝等)を経て、土(鉱物)は有機物、腐植を貯めこみます。貯めこんだ所は多種多様な微生物が活動する場となり、多様な元素を生み出します(自然的な状態)。
土は鉱物、生物、有機物等から出来ています。そうして、土に住む多様な生物の活動があって、始めて植物を育てる事の出来る「土壌」となります。自然農法の指す良い土です。
ただ、土壌は上手に利用しなければ消耗し、荒廃します。
鉱物だけ残っている土は土壌とは言いません。想像していただければお分かりの通り、土壌の肥沃度によって、その上に育つ生き物が変化します。
自然農法はその生きている土壌を利用するので、とても旨い農産物が育つのです。「作物は土壌そのもの」なのです。現在までに消費されてしまった土壌を「土壌」に近づける事が、美味しく健康で、病害虫にも侵されない農産物を育てる第一歩です
作物は「育てる」のではなく、「育ってもらう」のが一番です。まだまだ、わかっていない事が沢山あります。科学でわかっている事だけに焦点を当て育てる事が、生きるための自然界のルールに沿っているとは思えません。
栽培というのは植物に対して、人間の都合の一方的な押し付けです。植物工場に近い方法でも作物を育てる事が出来ますが、それは有限である資源を集約させ、莫大なカロリーを消費します。今になって、機能性や栄養価が低い事などが研究で報告され始めています。
だから、私たちは作物に育ってもらう事を第一に考えます。作物に合った環境を高いコストで作るのではなく、土壌や環境に合わせた作物を栽培します。
そうすれば、作物にかかるコストは最低限で済み、植物の長年蓄積された遺伝子という経験を最大限使う事が出来ます。無理な栽培は、自然界のルールに背きながら、すべて仕組みを作らなければなりません。
土壌や環境に合った栽培であれば、すでに整った仕組みの中に作物を溶け込ませる事が出来ます。そうすれば、適度な収量、美味しく、健康で病気知らずの、栄養豊富な、しかも有益微生物のおまけ付きです。
大事なのは「何とか栽培」ではなく、「作物の栄養状態と生理機能に合った栽培」です。人間も体で多くの微生物と共生しています。人は無菌状態では生きていけません。
ちなみに、植物の病気とは、「植物が健康でない状態を示すもので、連続的な刺激により植物の生理機能が乱されている状態、ある原因が継続的に作用して起こる植物の異常を表現する用語」、「植物の病気は植物が生きている内に始まる微生物の分解過程ともとらえる事が出来る。」との記載があります(植物病理学 東京化学同人)。
植物の病気と人間の病気って非常に似ていませんか。植物はどこで育てるのが適切でしょうか。
自然の中に「ある」のと、「いる」のとでは意味が全く違います。
自然の仕組みと一体になる事、近づくことで自然の中で育つ事が可能になります。そうして、食味や品質(栄養価、外見)も良く、収量も適正で病害虫に侵されず、環境にもやさしい。
美味しくなる理由は、
から。作物は、吸収出来る栄養や利用量が決まっています。吸収した栄養を使える形に合成するのにも、体を守ったり、成長させたりするのにもエネルギーを消費しています。
化学肥料や多量の堆肥だと、吸収した栄養素を使える栄養に再合成しなければならず、それに多くが消費されてしまいます。
実を美味しくするまでの適切なバランスが崩れる。だから、美味しさにも欠ける。美味しいという事は逆にそのバランスが適切だという事。そのバランスが取れた状態を自然と表現しています。それでこそ、お客様に自信を持ってお勧めできる農産物が育ちます。
「自然の中の野菜ってこんなに美味いんだ。」
そう感じて頂けるはずです。
のです。体はどうやれば健康になれるか知ってます。食べたもので、あなたは出来ているのです。
1.土作り
緑肥や草生栽培、作物の組み合わせでその土に合った微生物やミネラルを増やし、安定した栽培を可能にします。
偏った栄養をもち微生物の環境をを壊す動物性堆肥や化学肥料は一切使いません。もちろん、出来る限り機械も使用し、土に負担をかけない範囲で効率化します。
2.適地適作
自分が育てたいものではなく、その土地の環境や土、作物の性質に合ったものを栽培します。そうする事によって、農薬と肥料を使わなくても良質な農産物が栽培可能になります。
3.適期作業
作物が伸びたいときに伸びれるよう成長に合った作業を行います。植物ホルモンや栄養状態・生理状態が適切な時、良い農産物が生まれます。
4.実験する、調べる
育つところには育つ理由があり、育たないところには育たない理由があります。原因を追究する事で技術の向上につなげます。
人から直接教わるのはとても勉強になる事だと思います。ですが、農作物を育てるなら人ではなく、農作物に聞くべきだと。トマトならトマトが一番トマトの作り方を知っていると。何もない状態で考える事をしたかったからです。今もその考えは変わりません(読書や情報収集はたくさんしましたが)。昔の人も同じことを言っていたようです。
おかげさまで、自然農法でリンゴも採れ始めました。カラスや動物にも大人気となっています。リンゴは無散布、有袋栽培、無施肥です。果樹栽培を通し、不耕起が不可能ではないというのを肌で学びました。果樹でできるなら、野菜でも出来るはず。良い土壌の仕組みに違いはないからです。後は工夫あるのみです。
誤解があるかもしれませんので、解説すると
そうして育てた作物は、自然科学の極みです。人工的に育てられたものとは一線を隔てています。その美味しさは天然もので、価格は高くなく、コストは少ない。出来るまで苦労は多いですが。そんな美味しさたっぷりの農産物をぜひ味わって欲しいです。
その結果、「土壌有機物、腐植含量が土壌の健康状態を左右する最大で最も重要な要素」という結論を出しました。
農薬や肥料を使用するから美味しいものが出来るのではなく、それらを使用する事によって一時的に栄養状態・生理機能(不足していた栄養が補給される)が改善します。
そうする事によって、果実生産や体の成長に使われるエネルギーが増えます。
しかし散布によって、植物が生理的(植物が体を適切に保つ活動)にも欲している栄養が必要な時にすべて補給されるわけではありません。
植物には、あるものが吸収されると、もう片方が吸収されにくくなるという現象があります。
そうすると、植物の細胞が徒長し、栄養バランスが崩れ、生理的な活動が悪化し、病害虫に対して弱くなります。農薬の出番となるわけです。これは、治療薬ではなく対処療法として使われます。
それにより、かろうじて植物に住み着いていた微細な良い菌も殺します。
微生物は、分解するもののにより担当が決まっており、植物の徒長した原因であるものを分解する役割は、人間にとって悪い微生物が担当しています。
自然界には良い、悪いというのは存在しません。
悪い微生物が増えやすい環境下にある(細胞の徒長、農薬や肥料の使用)ので、農薬をかけた後でも悪い方はすぐに増殖します。
良い方は、増殖できる適切な栄養状態下(農薬や肥料使用では再現不可能)ではありませんので、ほとんど増殖出来ません。
こうして、腐敗しやすい植物になるのです。
農薬の使用条件を守ってもこのようになります。農薬を扱う資格(毒劇物取扱者、農業用品目)の資格を持っていますので、それなりに知識はあります。いくら土壌診断をしたとしてもそれだけでは補いきれないものがあります。
最終的にその悪い影響を人間が受け、高い医療費を支払う事になるのではと思っています。一応、一生の間食べても問題ない数値が農薬の基準となっているらしいですが、体内での複合汚染の影響を少しでも減らしたいと思っています。
>野菜の旬に合わせた方が比較的育てやすいですが、病虫害の発生しやすい時期もあります。
春は難易度が高めです。
私の住んでいる岩手県遠野市ですと、春先のアブラナ科など葉物は害虫の発生するタイミングや霜(5月中旬までは注意)と重なるので、人工的に加温し生育を早めるか、防虫ネットを張るなどしないと、全滅はしませんがある程度食われます。
収穫時もとう立の危険が高く収穫期間が短いです。秋の方が食べられにくいです。
>土の状態や土質によっても育てやすいものと、そうでないものがあります。これを無視すると、まず確実に経済栽培が成り立つくらいの収穫はありません。ですので、土や環境に対する知識が必要です。
>自然農法や無農薬栽培で上手く行っている所は、条件が良い場所が多いと感じます。無農薬栽培に関わらず、野菜はどこでも出来る訳ではないので注意が必要です。
>即効性の肥料や農薬を与え、生育を回復させることが出来ないので、管理の遅れは致命的なダメージになりやすいです。十分地力がある場合は遅れても何とかなります。